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最後の一曲を歌い終わった時、世界は変わらなかった

 

真夜中の新宿、明日へ向かうタクシーが並んでる

通りに響く掠れた歌声、その男は両目に包帯を巻いていた

 

ロックンロールを愛してしまった砂漠の兵隊

銃を捨て古びたギターを抱えて

錆びた弦をかきむしり安酒をあおっては戦場の歌を吟う

 

月に照らされて輝きを増す血に汚れた平和

最後の一曲を歌い終わった時、世界は変わらなかった

 

あの娘のことも忘れて濁った毎日に埋もれる

どうにもならないことばかりで朝になって目を覚ますのも嫌になる

 

大事にしてた猫はまだ元気だろうか

それとももう思い出すこともないだろうか

ほんの少し立ち止まりあの頃を想ってももう戻れはしない

 

月に透かされて震えてばかりいる虚ろな平和

最後の一曲を歌い終わった時、何処にも進めなかった

 

俺は何処に行きたいんだろう、誰と一緒に居たいんだろう

そんなことさえもわからずに生きていてもいいんだろうか

 

ロックンロールを忘れてしまった都会のギター弾き

思い付く限りの曲に合わせて

その胸をかきむしるけどただの一粒のメロディも奏でられてはいない

 

月に向かって吠えたてられる紛い物の平和

最後の一曲を歌い終わった時、世界は変わらなかった

そして朝が来て新しく生まれた空気を吸い込んで

最初の一曲を歌い始めた時、世界は変わり始めた